喫煙者には肩身の狭い世の中になってきましたよね。
そんな中、最近の嫌煙ブームを加速させるような「嫌煙権」という言葉が現れたことをご存知でしょうか?
タバコを吸わない人に関する新しい人権らしいのですが、またタバコに関する新たな法律ができたのか気になるところです。
本記事では、「嫌煙権とは何か?」を判例とともに詳しく調べていこうと思います。
嫌煙権とは?
「嫌煙権」とは、タバコを吸っていない人が公共の場などで喫煙者のタバコによる受動喫煙を拒否する新しい人権です。
新しい人権と言っても、受動喫煙に対する嫌煙権運動は40年ほど前にも行われているので、最近注目され出した新しい人権という方が正確かもしれませんね。
最近では喫煙者のみならず、受動喫煙による非喫煙者の健康被害も見直され、分煙や非喫煙者に対する配慮がたくさんされていますよね?
嫌煙権とは誰もが主張できるものであり、受動喫煙によって他者から自分への健康被害がある限り拒否する権利はあるのです。
公共の場での受動喫煙とは?
では、公共の場での受動喫煙とはどういう場所を指すのか気になりますよね?
公共の場といわれる代表的な場所は以下の通りです。
- 公園
- 電車
- 道路
- 会社
- 病院
- 学校
喫煙者も非喫煙者も関係なく利用する場所は、基本的に公共の場です。
というか、プライベートな空間以外は公共の場という認識で大丈夫です。
嫌煙権に対する権利「喫煙する自由」
では、道路にある喫煙所での喫煙も許されないのか?という疑問が浮かぶと思います。
その答えはNOです。
嫌煙権とは非喫煙者のもつ権利ですが、一方で喫煙者が自由にタバコを楽しむ権利も実はあるのです。
喫煙所は喫煙が認められている場所であり、喫煙する権利のある場所です。
ただし、この喫煙する権利や自由というのは、副流煙をまき散らしていいというものではありません。
公共の福祉に基づいた上での権利ですので、他人に迷惑をかけないということが前提です。
副流煙で非喫煙者の公共の福祉が保証されていなかったら意味がありません。
「嫌煙権」と「喫煙する自由」両方が尊重されるべき
つまり、受動喫煙を拒否する権利と喫煙する権利は2つとも、憲法で定められている国民の幸福を追求する権利であるため、双方の権利を最大限尊重すべきなのです。
しかし、受動喫煙症という喫煙者の副流煙で頭痛や倦怠感など身体の不調を引き起こしてしまう人が一定数存在するという事実も忘れてはいけません。
嫌煙権、喫煙する権利ともに新しい人権として浸透しつつあるもので、両方守られるべき人権なのですね。
嫌煙権に関する法律はある?
では、「嫌煙権」に関して、具体的な法律はあるのでしょうか?
なんとなく嫌煙権という言葉は聞いたことがありますが、法律があるのかどうかなど詳しく知っている人は少ないですよね?
実際に嫌煙権とは具体的な定義はどのようなものなのか?嫌煙権に関する法律について調べてみました。
嫌煙権を承認する法律はない
嫌煙権を権利として承認します!と規定されている法律はありません。
つまり、「嫌煙権」を主張しても法律で権利自体が守られる事はありませんし、逆に「喫煙する自由」に関しても法律で定められているわけではないので、こちらも法律で守られる事はありません。
要するに、法律で定められていない権利同士の対立や矛盾なので、最大限お互いが気持ちよく過ごせるように配慮しましょうというマナーでしかないのですね。
- 屋内施設の全面禁煙化
- タバコの増税
- 喫煙所の減少
近年はタバコの法律や対策が増加し禁煙思考が強くなってきているので、喫煙者の自由が奪われている気もしますよね?
しかしこれらの背景としては、喫煙者の自由を奪っている訳ではなく、今まで非喫煙者に対して配慮がされてなさすぎたのです。
時代の進歩と共に副流煙による害や身体への影響などが明らかになり、今まで気にされていなかった受動喫煙について慎重に考えるようになった結果ということですね。
そのため、40年ほど前からあった「嫌煙権」が新しい人権として認識されているのでしょう。
嫌煙権に繋がる法律「健康増進法の一部を改正する法律」
直接嫌煙権を保護する法律や、嫌煙権を主張して罰則が与えられる法律はありませんが、受動喫煙に関する新しい法律はあります。
タバコに関する法律は短いスパンで変わっていることが多いですので、今回は2020年4月1日から施行された「健康増進法の一部を改正する法律」についてご説明します。
比較的新しい法律であるため、詳しく理解できている方は少ないと思うので、詳しく解説していきますね。
健康増進法が改定
2018年7月に健康増進法の一部を改正する法律が制定されました。
「なくそう!望まない受動喫煙」という目標を掲げ、受動喫煙に関することをマナーからルールへと変えようという取り組みです。
2019年から徐々に施行されており、2020年4月から全面施行となりました。
法律改定後はどのような内容になった?
- 原則屋内禁煙
- 20歳未満、喫煙所立ち入り禁止
- 屋内での喫煙は喫煙所内のみ
- 喫煙室や喫煙所には標識掲示を義務付け
原則屋内禁煙
原則屋内禁煙になったのは生活にも影響が大きいのではないでしょうか?
屋内ということは、ファミリーレストランやスーパーなども含まれており、今までは分煙が大きく取り上げられていましたが、最近では原則禁煙となっています。
たしかに最近ファミレスなどの公共施設で喫煙席を見かけなくなりましたよね?
あれも受動喫煙対策である法改正の影響です。
20歳未満、喫煙所立ち入り禁止
20歳未満の非喫煙者が喫煙所に行かされると、必然的に受動喫煙をすることとなります。
それを禁止してしまう事で、「嫌煙権」を守ろうという取り組みです。
非喫煙者の受動喫煙を防止する目的と、未成年の喫煙を予防する目的があるのではないかと考えてられます。
屋内での喫煙は喫煙所のみ
これもルールが正確に定まったことによって、受動喫煙を嫌う方や嫌煙権を主張する方にとってはかなりありがたいのではないでしょうか?
喫煙者の方にとっても、喫煙所があれば周りに気を遣うことなく思う存分喫煙する事ができますからね。
まさに双方の権利を守ることができるルールです。
喫煙室や喫煙所には標識掲示を義務付け
喫煙所があってもそこで喫煙できなければ意味がありません。標識を義務付けする事によって分かりやすくし、喫煙所以外での喫煙を防止する取り組みです。
標識を義務付けというと少し面倒な気はしますが、混乱を防ぐこともできますし何より分かりやすくなりますね。
また、間違って非喫煙者の方が喫煙所に入ってしまうことも防止できます。
嫌煙権に関する判例はある?
法律で「嫌煙権」について定められている訳では無いのに、判例なんてあるの?と疑問に思う方もいるかもしれませんが、実際に嫌煙権を主張して行われた裁判があります。
嫌煙権とは法律で定められているものではありませんが、嫌煙権を主張して訴訟を起こした訴訟として「嫌煙権訴訟」があります。
「嫌煙権訴訟」(1980年)
後に日本たばこ産業となった日本専売公社に対して、「国鉄車両に乗車することで受動喫煙の害を受けている」と損害賠償請求をした民事訴訟です。
当時は現在の新幹線在来線ともに、喫煙所はもちろん禁煙車もほとんどなかったため、非喫煙者は我慢するしかなかったのです。
嫌煙権とは非喫煙者の権利ですが、非喫煙者の権利を主張した訴訟は「嫌煙権訴訟」が日本で初めてでした。
国鉄以外にも公共交通機関は存在する。
車両内の受動喫煙は数時間程度で我慢できる範囲内だとして棄却された。
「嫌煙権訴訟」が受動喫煙を考えるきっかけとなった
訴訟は棄却されてしまいましたが、この判例によって、国鉄車両に禁煙席や禁煙車が設置される事となり、「嫌煙権訴訟」の判例は、受動喫煙について考え直されるきっかけとなりました。
これを機に分煙などが意識されるようになり、現在の「健康増進法改定」にも繋がっているのですね。
嫌煙権とは新しい人権だと思われていますが、40年も前から人権として主張されているものだったのです。
嫌煙権とは新しい人権なの?「嫌煙権」に関する法律と判例まとめ
「嫌煙権」は、嫌煙思考が高まる昨今ですので、最近新しい人権として注目されるようになりましたが、40年も前から権利を主張する裁判の判例が行われていたということが分かりました。
もちろん喫煙者の方にも「喫煙の自由」があるので、お互いが生きやすい世の中を作っていかなければならないということですね。
- 嫌煙権とは、受動喫煙を拒否する権利
- 喫煙者にも非喫煙者にも権利がある
- 嫌煙権とは法律で明確に定められているものではない
喫煙に関する権利は、喫煙者にも非喫煙者にもありますが、法律で定められている権利はまだないということが分かりました。
今現在では法律で定められていませんが、今後定められる可能性もありますし、タバコに関する規定はますます増えそうな予感がしますね。
今後も嫌煙思考が高まるのかは分かりませんが、双方が思いやりをもって幸せに生きられる努力をしなければならないことは確かですね!